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ヌクモリティ
小さな幸せの積み木
「さて、今日も頑張ろう。」 都内の古びたアパートの一室、午前6時。目覚まし時計が鳴ると、28歳の桜井美紗は布団からすぐに起き上がった。部屋は6畳一間で、家賃は月5万円。狭くて古いけれど、彼女にはちょうど良い空間だった。小さく呟きながら、彼女は簡単な朝食を用意する。昨夜作り置きしておいたおにぎりと、インスタント味噌汁。それにスーパーで特売だった卵を焼いて添える。食卓は簡素だが、彼女はこの朝食の時間を大切にしていた。窓を少し開けると、近くの公園から鳥のさえずりが聞こえる。その音を聞きながら湯気の立つ味噌汁を飲むと、心がじんわりと温かくなる。 美紗は現在、スーパーのレジ打ちとカフェのバイト
桶川イモ子
純文学
女性
フリーター
幸せ
ヌクモリティ
貧困
夜の灯
「今夜は星がよく見える」 車内は、わずかな灯りでほのかに照らされていた。40歳の奈々子は、助手席をリクライニングさせ、毛布にくるまりながら外を見上げていた。窓越しに見えるのは、星が瞬く夜空。どこかの郊外の駐車場。エンジンを切った車内はひっそりとしていて、聞こえるのは風の音だけだ。 奈々子は、ここを「家」と呼んでいた。家といっても固定の場所ではない。彼女の家は、黒い軽バンの中だ。狭い車内には、寝具や簡易調理器具、小さな瞑想マットが整然と収まっている。それらは、必要最小限のものでありながら、奈々子の暮らしを形作る大切な道具だった。 以前の彼女は、都内でデザイン会社に勤めていた。締め切り
深谷浅山
大衆小説
車中泊
女性
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