読物
ログイン
ランキング
読物
プロフィール
ログイン
経理
微笑む影
「ここに何かあるはず……」 深夜のオフィスビルは、まるで墓場のように静まり返っていた。経理部のデスクランプだけがぼんやりと点いており、その下で資料をめくる音がかすかに響いている。吉岡茜は、資料を一枚ずつ丁寧に確認しながら、ペンでメモを取っていた。 茜はこの会社の内部監査員だ。最近、経費に不自然な数字のズレが複数回見つかり、上層部から徹底的な調査を命じられた。数万円単位の微妙な金額が抜き取られているのだが、それが継続的かつ巧妙に行われているため、誰がどのように仕掛けたのかが特定できない。 「偶然なんかじゃない。これは意図的な操作だ。」 茜は資料を手に取り、椅子にもたれかかる。デー
本庄カナタ
大衆小説
女性
ダーク
ミステリー
経理
探偵